アレクサンダー・テクニークについて

説明

アレクサンダー・テクニークは、
私たちに備わる「バランスをとる自然なはたらき」を最大限に活かして動くよう、
自分自身をガイドする身体技法のひとつです。

F.M.アレクサンダー(Frederick Matthias Alexander)さんが開発したので、
アレクサンダー・テクニークといいます。

1869年オーストラリアで生まれた彼は、シェイクスピアの朗誦を得意とする俳優でした。
シェイクスピアの名台詞を集めた一人芝居をつくり、ツアー公演をしていたころ、
公演中や公演後に、声が出なくなるという問題が起き始めます。

いろんな薬や治療法を試しても改善せず、
お医者さんは、声を保ちたかったら演技をやめなければいけない、匙を投げました。

ここからが、アレクサンダー・テクニークで生まれる始まりです。
彼は、思ったのです。

日常会話では声に全く問題はなく、パフォーマンスをしたら出なくなる。
だとしたら、パフォーマンス中に、
自分が、声をからす原因となる何かをやっているんじゃないだろうか
パフォーマンス中の様子を観察すればやってることがわかるんじゃないか。
何をやっているかがわかって、それをやめたら、声、回復するんじゃないだろうか。

そこから10年かけ、彼は、
自分のやっていることの観察(三面鏡をおいて動く)
→観察結果から仮説を立てて実験(仮説をもとに動く)
→観察→検証→再仮説→実験→検証→再仮説…
を続けます。

10年近い、観察と気づきを通して、
彼自身がやっていた「声をからす」一連の誤用を発見しました。
それがアレクサンダーテクニークの原理(7つの原理)となっています。

まとめると、

外からの刺激への反応の仕方(身体感覚として観察可)には、
本来生き物として持っている機能に沿ったもの(心と体に優しい反応の仕方)と
機能を邪魔するもの(心と体を傷めつける反応の仕方)がある。

私たちは、意識的・無意識的にどちらかの反応パターンをとっている。

心身の機能を邪魔する方向で反応しようとしている場合に、
そのことに気づいて、心身の機能に沿った方向に再方向づけしてあげることで、
自分の心身に優しく、本来持つ機能を最大限発揮することができる。

そのスキルや感性を磨いていくのがアレクサンダー・テクニークのワークです。

アレクサンダー・テクニークの学びや体験を言葉で表現すると

アレクサンダー・テクニークの学びは
シンプルな原理を、淡々と実行しつづけるうちに、
私たちに本来備わる繊細で精巧な心身のメカニズムへの信頼を取り戻していく
そんなプロセスです。

気づいたら、物事の見方やとらえ方が変わっていて、
その時その時の結果自体は、それほど気にならなくなり、
自然と視野広く物事を捉えるようになっていることに気づきます。

こんな意識の使い方で動くとこの結果になるんだ、
じゃあ、次はこんな意識の使い方をしてみたらどうなるだろう…

実験→全心身からのフィードバック→再実験
この一連のプロセスの中に、毎瞬毎瞬いる状態、です。

フィードバックを受け取っているのに忙しくて
「失敗」「成功」を判断している暇がない、
結果として、気づいたら、1回1回の結果に振り回されなくなっていた
そんな感覚かもしれません。

レッスンでは「身体の動き」という側面にアプローチしていても、
人生全般に影響が広がっていきます。

新しい知見を得て、自分の心身と関わっていく

私たちは、有機体です。
今この瞬間、
全身の感覚受容器で、刺激・情報を受け取り、
その反応として、過去の記憶も影響しつつ、イメージや思考がうまれ、
内と外の相互作用しつつ、最適なバランスを取り続けようと全心身で反応しつづけています。

身体を機械であるかのようにコントロールしようとしがちですが、
アレクサンダー・テクニークは、
微細に反応し続ける有機体としての自分全体(心と身体とそれを超えたもの)の繊細な動きを捉え、
その動きにのりながら、自分の望む行動を起こしていく、
そんなスキルを身につけるレッスンです。

私たちに備わる心身のバランス調整機能に、体験を通して気づいていき、
その結果として、自分自身の可能性の広がりを体験できると思います。

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